あなたの「怒り」はコントロールできていますか?

『保育者のためのアンガーマネジメント入門 : 感情をコントロールする基本スキル23』

野村 恵里 著
中央法規出版(2017年)
こども学科 齊藤 淳子 准教授 推薦図書)


 

 

 私がアンガーコントロールという言葉を知ったのは、中学校の教員として勤務し、特別支援学級の担任をしていた時です。ADHDとLDの診断をされている生徒と感音声難聴と広汎性発達障害の診断をされている生徒、2人の担任をすることが決まり、どのような自立活動を取り入れるべきかと悩み、いろいろな文献を探していた時に見つけた方法がアンガーコントロールです。今はアンガーマネジメントという方が多く、私が初めてアンガーコントロールについて調べ始めた時よりも「怒りのコントロール」に関する書籍がたくさん出版されています。

 

 今回、紹介するこの本は、「保育者ための」とタイトルにもあるように、保育者に焦点を当てたアンガーマネジメント入門です。
 保育の現場では、どうしても「叱る」という場面に遭遇します。ここで気を付けて欲しいことは、「叱る」であって「怒る」ではありません。みなさんも何かまずいことをしてしまった時に「叱られた」というよりも「怒られた」と言ってしまうことの方が多いのではないでしょうか。
 仕事をするようになると、忙しくてイライラしてしまうこともあるでしょう。イライラしている時に、子ども達が間違った行動をしてしまったとしたら?きっとイライラをぶちまけるように「怒って」しまうこともあるかもしれません。別の場面では、理不尽に「怒って」しまうこともあるかもしれません。そうならずに質の高い保育を目指すためには、感情を理解し、怒りをコントロールするスキルを身に付けることも必要です。この本には、保育者がやってはいけない「怒り方」についても触れられています。この本を読んだからといって、すぐに怒りをコントロールできるようになるわけではないと思いますが、これから保育や教育現場に入っていくみなさんにはぜひ知っておいてもらいたいことがつまった1冊です。

 

 この本は1つのセクションが見開きで書かれていて、イラスト付きでとても読みやすいです。また、「怒り」の自己診断ができたり、上手な伝え方のテクニックについて事例をもとに挙げられていたり、保護者や上司、部下と関わるためのトレーニングが紹介されていたり、一人でもできるワークがついていたりもするため、実践もしやすいです。
 ぜひ、一度手に取って読んでみてください。

 

 

2024年1月
こども学科 准教授 齊藤 淳子

一般図書
[請求記号:376.14/N]

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