時代の変化に気づき、どう対応するか、自分の道を見つけるヒントが…

『チーズはどこへ消えた?』

スペンサー・ジョンソン著
扶桑社(2000年)


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読書があまり好きではないという方に、紹介する一冊です。もちろん、読書が大好きな人にはその奥にある「生き方のヒント」を読み取って欲しい図書です。100頁に満たない薄い本ですから、短い時間で読めます。さらに短めに読みたいという人は、3部構成の二番目の「物語 チーズはどこへ消えた?」という章から読むことをオススメします。

2匹のネズミ「スニッフ」と「スカリー」、それと2人の小人「ヘム」と「ホー」で繰り広げられるチーズ探しの物語です。この2匹と2人の名前を覚えながら読むと、ストーリーが理解しやすいでしょう。チーズ迷路の中で繰り広げられた出来事の把握は容易になり、物語も楽しめると思います。読書を楽しんでもらえたら、ここで、読書は終わりでもいいでしょう。

もう少し考えてみたいと言う人は、例えば、私が所有しているこの本の表紙の「帯」に書いてある「1時間で読めて10年間役立つ」とは、どういうこと?と考えてみてください。物語の後半の箇所には、頁を開くごとに彼らが壁に書いたメモがあります。そのメモを改めて読み直してみてください。あなたの日常は2匹と2人の誰に近いですか?迷路は社会や家族、あるいは大学での学修のことかもしれません。それをふまえて、第3章の「ディスカッション その夜」を深く読んでみましょう。自分の感想と比べてみることができると思います。そして、先程の「帯」の意味が自力で分かると思いますし、皆さんの学びのスタンスや生き方をも、考えるヒントがあるのではないかと思います。

最後に、本書を紹介した理由を述べましょう。私の講義では、毎回の終了時に数行の講義の感想や学び等を書くことが義務づけられています。その中で、「本を読むのは得意ではありません」「書くことが苦手です」と書く人が多くいます。苦手だからテキストさえ読まないという構図になっています。書けない人の多くは読むことが嫌いのようです。そこで、「読むこと」「読書」のきっかけになればと思い、本書を推薦したところです。


2021年1月
子ども発達学科 教授 浦野弘

一般図書
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