『フィンチの嘴:ガラパゴスで起きている種の変貌』
ジョナサン ワイナー著;樋口広芳, 黒沢令子翻訳
ハヤカワ・ノンフィクション文庫(2001年)
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今回紹介する『フィンチの嘴:ガラパゴスで起きている種の変貌』は,皆さんのあまり馴染みのない科学ドキュメンタリーというジャンルに属する本です.ダーウィンで有名な『進化論』という難解なテーマを扱っているうえ,1995年にピューリッツァー賞(アメリカジャーナリズムの最も権威ある賞)を受賞したこともあって,何だか近寄り難くて手に取ってみようとは思えないかもしれません.しかし,400ページに及ぶ厚い本であるにもかかわらず,そんな量を感じさせずに一気に読ませる面白さが本書にはあります.
一見小難しそうで,とっつきにくそうに思うかもしれませんが,必ず理解できるレベルの内容なので,じっくり読み進めてほしいと思います.読み終えた時にはこれまでの自分ではない,賢くなった自分が実感できる保証つきです.特に動物好きなら読まないのはもったいないほどエキサイティングな内容といえます.
首の短いキリンに比べて,高いところにある葉っぱを食べることのできる首の長いキリンがより多くの資源(餌)を獲得することができ,子孫を残すことができる~という話は誰もが一度は聞いたことがあるのではないでしょうか?自然選択,適者生存,突然変異といったこれでもどこかで書いたことのある言葉も本書のメインテーマである『進化』に関わる話によく出てくるものです.ダーウィンの進化論を実証しようと20年にもわたって調査をするある研究者夫妻の物語を軸にしつつ,これら難解なキーワードを事例を挙げてわかりやすく説明してくれているので,途中で挫折することなく読み進めることができるでしょう.
実は私自身が昔(学生時代),この本を読むまで進化というものをうまく整理できていなかったのですが,読み終わった後は,進化(の一端)について周りの人にわかりやすく説明できるようになったほどです.春休みに読むのにピッタリのおススメの一冊です!
2018年3月
ビジネス実務学科 教授 小島望
一般図書
[請求記号:488.99/W]