『顧客満足[CS]の知識』
小野譲司著
日本経済新聞社(2010年)
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大学生は就職して初めてお客様,すなわち「顧客」を本当に意識するようになります。「えー,そんなことないでしょ?」,ほとんどの学生がアルバイトを経験している昨今では,そんな回答が返ってくるのは想像に難くありません。何故そう言えるのか,それは企業の存在理由である事業継続を実現するための利益,それの元となる売上,それを生み出すのがお客様,すなわち顧客だからです。学生の多くは就職して社員となって,会社(上司)から,自分の会社の売上をあげ,利益を出すことをノルマとして要求されて初めて,自分が今まであまり考えずに対応してきた目の前の人達が「顧客」だったんだと意識するようになるのです。
しかし,顧客はそう簡単には商品やサービスを購入してはくれません。何故なら,経済環境が厳しい今日,必要ないものを買うことはありませんし,そもそも彼らの周りにはいろんな物が溢れていますから,その商品やサービスをわざわざ買わなければいけない理由がないのです。
でも,実際には人は何度も同じ商品やサービスを買っています。その行動に人が感じる満足が関係しているのです。人は自分の期待している以上の商品やサービスに出会うとそれに満足し,その差が大きいほど記憶に残りよい印象を持つことになります。逆にそれが自分の期待していたような商品やサービスでなければ,人は不満を感じ悪い印象を持つことになります。こうした顧客が感じる満足が,その後の購買行動に影響を及ぼしているのです。
本書はこの顧客満足のしくみを分かりやすく説明していますから,社会人になる前の学生にとって必読の1冊と言えるでしょう。
2016年11月
経済経営学科 専任講師 柴田仁夫
一般図書
[請求記号:673.3/O]