『ブラックバイト : 学生が危ない』
今野晴貴著
岩波書店(2016年)
おかしいと思ったらすぐ相談!
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ここ数年、「先生、どうしてもバイトが休めなくて…」と言われることが増えています。学生との会話の中で、「ワンオペ」(接客、清掃、調理などの作業をすべて一人に任され、休憩が取得不可能な状態。最初はアイドルグループの名前かと思いました…)という言葉も耳にするようになりました。
ブラックバイトの特徴は、①自分がいないと職場が回らない、②過重な責任、③長時間・深夜勤務、遠距離へのヘルプ、④急な呼び出し、シフトの強要、⑤最低賃金割れの賃金、残業代不払い、⑥偽装求人、⑦罰金、ノルマ、自腹購入、⑧責任感からやめられない、⑨契約違反・損害賠償で脅す、⑩脅迫、暴力、だそうです。この中の一つでも、今のアルバイトにあてはまるものはないでしょうか。
責任感のある学生ほど、このようなバイトから抜け出せなくなってしまうという現実があります。生活費の足しや社会勉強と思って始めたものの、授業に出席できなくなり、留年や退学に陥ってしまう事例も少なくありません。この本を読むことで、それが学生本人の責任や性格上の問題ではなく、社会に構造化された問題であるということが理解できます。相談先など身を守る方法も具体的に紹介されており、学生だけでなく、教員や保護者の方々にも読んでもらいたい1冊です。
2016年7月
こども学科 准教授 井上清美
一般図書
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