「今」や「これから」を知るには,歴史を振り返ることが大切

『戦後の日本経済』

橋本寿朗著
岩波書店(1995年)


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今年2015(平成27)年は,第2次世界大戦が終結して70年になる節目の年である。

この70年にわたる日本経済を振り返れば,まさに「激動」という言葉がふさわしい時代であった。敗戦によって,事実上,ゼロから再出発した日本経済は,復興,高度成長,低成長を経て,バブルの拡大と崩壊に直面した。その後も,「失われた20年」と呼ばれる苦しい時期を経験し,今も先行きが不透明なままである。

本書が書かれたのは,今から20年前,戦後50年目の年であった。在学生の皆さんが生まれる前後の時期である。「こんな古臭い本」と思われるかもしれない。きっと皆さんが知りたいのは「今の日本」,「これからの経済」についてであろう。しかし,「今」も,「これから」も,ある日突然現れるわけではなく,戦後の長い歩みのすえに創りあげられた体制なのである。したがって,「今」や「これから」を知るには,歴史を振り返ることが大切なのである。

橋本寿朗氏は,戦後の日本経済を4つの時期に区分し,それぞれの時期の特質をさまざまな視点からコンパクトかつ平易に解説しながら,「当時の今」(1995年)に至る過程を分析しつつ,続く時代,すなわち「現在の今」に向けた「課題と展望」を描いている。

もし,「今」や「これから」に興味があるのなら,本書を片手に,皆さんが歩んできた20年間を振り返りながら,その「課題と展望」が現実のものとなったのかを確認しつつ,日本の「これから」について考えてみてはどうだろうか。


2015年6月
ビジネス実務学科 教授 松田淳

一般図書
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