「共感」の意味とその重要性が理解できる

『共感-育ち合う保育のなかで-』

佐伯胖編
ミネルヴァ書房(2007年)


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今、学力低下、「いじめ」による子どもの自殺、親の子どもへの虐待、子の親殺し、こうした問題に、教育の徹底、とくに、「心の教育」の徹底化が求められています。皆さんは、教育に何ができると考えますか。
本書では、現代社会の多様な、深刻な問題に対する根本の治療薬は、「共感」であることしています。はじがきの1節では、「現代社会は、まさに「共感性」を喪失した社会になってきており、「共感」の重要性の自覚、「共感」が失われていくことへの警告。「共感」を取り戻すための試み…。このようなことをいますぐにでも、はじめなければなりません。」と述べられています。

内容は、まず、「発達」について、「共感」を軸に論じられます。そのあと、乳幼児同士のかかわりから自閉症傾向のある子どもとの関係づくり、さらに、保育者の成長、保護者との関係作りまで、保育実践の現場でのあらゆる場面の中に潜んでいる「共感」の大切さについて訴えられています。
保育の場面では、かかわりや関係作りの難しさを感じることは山ほどあります。それらの多様な場面には、根底のところに向かわなければ解決ができません。そこに、「共感的知性」が問われるというのです。

「共感」という言葉は、日常よく耳にし、使いもする言葉ですが、本書を通して、「共感」の意味とその重要性を理解することができると思います。
よい保育者、教師になりたいと願う方、現場の諸問題に向かうための知恵を得たいと願う方、「共感」という言葉に興味を抱いた方、是非手にとっていただきたいと思います。
本書は、具体例を引きながら、「共感」のしくみと「共感」の内実を解き明かし、さまざまな関係の中に生きる私たちに「共感」の大切さへの目を開かせてくれる素晴らしい書です。


2013年10月
こども学科 専任講師 森田満理子

一般図書
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