日本やアジアに関心のあるあなたへ

『騎馬民族は来た!? 来ない!? : [激論]江上波夫vs佐原真』

江上波夫,佐原真著
小学館(1996年)


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日本の古代国家形成に関する仮説の一つに、江上波夫の「騎馬民族国家論」がある。4~5世紀に東北アジアの騎馬民族が朝鮮半島を経て九州北部に渡来し、やがて近畿に侵攻、在来勢力を征服して統一国家を建てたと説く。壮大な構想で、とても魅力的な説なのだが、具体的な証拠がないため、学界全体に受け入れられてはいない。著者の一人はもちろん提唱者の江上博士。もう一人の佐原氏は、日本の考古学界を代表する人物であると同時に、この学説に対する最も強烈な反論者。その両人の対談になっている。話しことばなので、学生や一般の読者にもわかりやすい。日本史ばかりでなく、日本や、さらにはアジアに関心をもつすべての人におすすめできる1冊である。

また、大先生たちの学生時代の様子なども語られており、「学ぶ」とか「一つの道に志す」とはどういうことかといった点も、ぜひ読み取り、味わってもらいたい。


2008年12月
人間文化学科 教授 湯浅 吉美

一般図書
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