『限りなく人類に近い隣人が教えてくれたこと』
ロジャー・ファウツ, スティーヴン・タケル・ミルズ著
角川書店(2000年)
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人間の傲慢さ VS 信頼感情の素晴らしさ
ロジャーは2歳のチンパンジー「ワショー」と出会った。これが全ての物語の始まりだった―。人間とチンパンジーが、人間の言語を使って意思の疎通を図り、信頼関係、家族関係を築いていった。彼らは、チンパンジーが音声を使って表現する能力を持っていないだけで、感情を持ち、論理的に考えることができることを証明した。
5人の「チンパン人」と共に暮らすことになったロジャーの、紆余曲折の人生。科学という大義名分の下に行われる、非人道的、非論理的な非業の数々。ロジャーとワショーの30年にも及ぶ人生を描写した本作には、「人間とは何なのか」という根本的な命題が刻まれている。1人の人類と1人のチンパンジーが紡ぎだした驚きと感動の物語。
400ページ以上に及ぶ大作ではあるが、時間をかけても「読んで良かった」と思える作品に仕上がっている。科学の書であると同時に、子育ての書、教育法の書、人生哲学の書、不屈の精神の書、愛の書、人権の書、行動の書である。
2008年10月
情報メディアセンター K.S
一般図書
[請求記号: 481.78/F]