受け身の授業にモノ申す―参加型授業への誘い

『学生と変える大学教育』

清水亮, 橋本勝, 松本美奈著
ナカニシヤ出版(2009年)


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全国の大学で、教育力の向上を目指してFD活動は盛んであり、埼玉学園大学においても、例外ではない。一方、FD活動の実践に関しては多くの大学において暗中模索で試行錯誤中であり、決定打のない状況である。そのような中で、学生の顔の見える、学びの主権者としての学生の視点を十分に取り入れた、具体的な実践活動が数多く紹介されている良書のひとつが本書である。

その実践例の中で、特に興味深いものは、岡山大学の橋本勝氏の「橋本メソッド」である。「橋本メソッド」は、約150人の受講生を対象に、ゼミ型の授業を展開する学生参加型授業である。双方型授業の実現は、少人数のゼミのときだけに限ったものではなく、多人数の一般的な講義においても可能なのだということは驚きである。本学は少人数のシステムをとっているものの、100人を超える受講学生になる場合も時としてある。その場合においても、十分に橋本メソッドの適用できる射程範囲内である。本学での全ての講義がこの橋本メソッド方式で実現できることになるとしたら、大学教育界に旋風が起こるかも?とすら予感させる。

私自身も、橋本メソッドを参考に試行錯誤の授業を試み始めたものの、やはり一教員だけで、できることには限りがある。ぜひ、学生諸君もこの本を読み、チャンスがあれば担当教員へ改善参加提案をし、積極的に授業に参画して欲しい。そうすることにより、教員と学生の皆さん双方にとって「FDによって授業を楽しむ」ことにつながり、大学生活は実り多いものになっていくはずである。


2010年10月
経営学科 教授 豊島雅和

一般図書
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